制約だらけの現場でどう飛ばす? 東京湾空撮で検証したGlobeXplore Proの実力
- 崚太 打木
- 1 日前
- 読了時間: 5分
船の揺れるデッキから、限られた15分でレインボーブリッジを撮影する。 ドローン業者にとってこれは「腕試し」ではなく「大きなリスク」です。
そこで活躍したのが、事前シミュレーションツール GlobeXplore Pro。 今回は、東京湾の船上ツアーで行った検証から、その効果と課題をご紹介します。
この記事でわかること
都市部や船上といった「制約の多い現場」で直面する課題
GlobeXplore Proを使った事前シミュレーションの具体的な流れ
実際とシミュレーション結果を比較してわかった効果
業務を効率化したポイントと、現場で役立った具体的なメリット
シミュレーションでは補えない限界と、その対策方法
GlobeXplore Proとは GlobeXplore Proは、株式会社ozoraが開発した業務用ドローンシミュレーションソフトウェアです。 バーチャル空間上で実際のドローン機体やカメラ画角、環境を再現し、ドローンの撮影計画や飛行ルートの下見を可能にします。 ドローン撮影にかかるリスク・コスト・時間を大幅に削減し、効率的なオペレーションプランの策定を実現します。 詳細はこちらから 具体的な活用事例: アイ・ロボティクス様におけるGlobeXplore Pro活用事例
今回の概要
本検証は、株式会社華飛様にご協力いただき、同社主催の東京湾の船上空撮ツアー「東京スカイクルーズ」に参加して実施しました。 東京湾のレインボーブリッジ周辺等といった東京の中心を望めるロケーションで、船上での空撮や時間制限など難易度の高い現場においてどのようにGlobeXplore Proを活用できるかを検証します。
実際の様子は、こちらの動画でご覧いただけます。まずは映像で、バーチャルロケハンがもたらすリアルな体験をご覧ください。
現場条件
撮影の目的 | 都内のランドマークのイメージ動画撮影 |
狙いショット | レインボーブリッジ/東京タワー/モノレール |
機材 | |
場所 | 東京湾(レインボーブリッジ周辺エリア)2箇所 |
環境 | 飛行時間各ロケーション約15分、複数機同時に飛行するため電波環境の可能性、船上の操縦のため予期しない船の揺れやハンドリリースが必須。 |
今回の現場の制約
飛行高度制限 今回の撮影場所では、ドローンの最大飛行高度は120mに制限されていました。この制約内で、現場で最も苦労したのは実際に機体を飛ばすまで「何が、どの画角で見えるのか」を正確に把握するのが困難なことです。
時間の制約 フライトは、約15分と時間が限られていました。
このような時間的制約がある状況では、ドローンを上空に上げた後に最適な画角を探したり、試行錯誤を重ねたりする余裕がありません。
事前のロケハンが困難
撮影対象に対して、制限高度である120m内での適切なカメラのアングル(画角)を把握するためには、事前に現場に行ってテスト飛行をしなくてはなりません。 ただ、今回のような都内の空撮は飛行許可申請に工数がかかるため予算によってはテスト飛行はできません。
今回のような制約が多い業務においては事前のプランニングが非常に重要です。
事前シミュレーション
事前シミュレーションでは、当日と同じ場所・時間帯・機体・カメラにパラメーターを設定します。

パラメーターの設定が完了したら、高度表示を確認しながら画角を確認していきます。
GlobeXplore Proはコントローラーでの操作にも対応しているため、USBでコントローラーを接続し、実際の機体と同じような操作感でシミュレーションできました。
今回の撮影現場では、”東京タワーを収めることができるか”というのがシミュレーションの前の一つの疑問でした。事前にシミュレーションしたことで東京タワーを収めるためには別の建物に機体が近づきすぎてしまい、東京タワーを収めた撮影は危険だと言うことがわかりました。
直近のアップデートでコントローラーによるチルト操作に対応し、より操作感が向上しました.
今回はこのような画角で決定しました!


実際に飛行した結果
当日の現場の様子
不安定な船上での操縦やドローンが同時に飛行することによる電波干渉といった課題があったものの、ハンドリリースなどの運用補助体制と、GlobeXplore Proによる綿密な事前準備により、操縦者は安全管理に集中して船上特有の離着陸にもスムーズに対処し、短時間の中でも段取り良く進行させることができました。
GlobeXplore Proを活用した効果検証の振り返り
メリット
操縦や安全に集中できた。画角を探る必要がなかった。
事前にシミュレーションで想定していた画角で撮影できた。
実際の現場では、電波干渉や船の揺れといった環境要因の障害への対処に集中することができ、作業の安定性が大きく向上した。
限られた飛行時間の中で、上空で試行錯誤する時間を省き、事前に決定した具体的な構図やカメラワークを再現することに集中できた。
デメリット
機体を表示させて飛行する高度とシミュレーションの高度が多少異なる
機体の高度表示が環境により正確ではないことがあることがわかった
GoogleMapを利用しているため、必ずしも建物が最新ではない
今回は具体的な違和感はなかったものの、場所によってはあたら良い建物の存在を予見できない場合がある。
まとめ
今回は、業務用ドローンシミュレーションソフトウェア「GlobeXplore Pro」を活用し事前にシミュレーションをした上で空撮業務を行いました。
GlobeXplore Proを活用したことにより現場の画角を正確にシミュレーションでき、撮影する画角は事前に確定できました。そのため、当日現場では飛行の安全と安定運用に集中できました。
本検証の実施にあたり、ご協力いただきました株式会社華飛 千葉様に感謝いたします。
今後もGlobeXplore Proは、実務現場でのご意見を反映しながら進化を続けてまいります。
GlobeXplore Proについて、詳しくは以下のページをご覧ください。